犬の破歯細胞性吸収病巣とは?|歯が溶ける病気に注意
破歯細胞性吸収病巣(はしさいぼうせいきゅうしゅうびょうそう)という、犬の歯が徐々に溶けていく病気をご存知ですか?
「破歯細胞性吸収病巣って何?」
「どんな症状が出るの?」
「予防することはできる?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
破歯細胞性吸収病巣は進行すると強い痛みを伴い、生活の質(QOL)に大きな影響を与えることもあるため、早期発見・治療が大切です。
今回は、犬の破歯細胞性吸収病巣について、原因・症状・治療法をわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の歯の健康管理にお役立てください。
破歯細胞性吸収病巣とは
破歯細胞性吸収病巣とは、歯の表面(エナメル質)や中の組織(象牙質)が破壊・吸収されていく病気です。
歯の中には「破歯細胞」という、もともと歯の組織を吸収する働きをもつ細胞が存在します。この破歯細胞が異常に活性化し、健康な歯まで壊してしまうのが破歯細胞性吸収病巣です。
破歯細胞性吸収病巣になると歯が部分的に欠けたように見えたり、歯ぐきが赤く腫れて歯の根元を覆うようになったりすることがあります。
病変は目立ちにくい場所から進行するため、飼い主さんが気づきにくい病気です。
破歯細胞性吸収病巣は猫で比較的よくみられる病気ですが、犬での発生も報告されています。
破歯細胞性吸収病巣の原因
破歯細胞性吸収病巣の原因は、はっきりとは解明されていません。
ただし、次のような要因が関係していると考えられています。
- 慢性的な歯周病や口内炎
- 外傷や歯への過度な負担
- 免疫系の異常反応
- 遺伝的要因
また、猫では加齢に伴って発症リスクが高まる傾向があると言われていますが、犬では比較的若い年齢でも報告があります。
破歯細胞性吸収病巣の症状
破歯細胞性吸収病巣は初期の段階では症状がほとんど出ないこともある病気です。
進行すると次のような変化が見られます。
- 歯の根元が赤く盛り上がる
- 歯が部分的に欠けたり、穴があいている
- ごはんを食べづらそうにする
- 硬いものを噛みたがらなくなる
- 口を気にして前足でこする
- 口臭がきつくなる
放置すると、歯が自然に折れたり、激しい痛みで食欲が落ちることもあります。
特に歯ぐきに隠れて見えない部分で進行していることも多く、注意が必要です。
診断と治療法
破歯細胞性吸収病巣の診断には、以下のような方法が用いられます。
- 口腔内の視診
- 歯科用レントゲン検査
治療方法は歯の吸収を止める方法がわかっていないため、主に吸収が進行している歯の抜歯が第一選択です。
また、痛みをコントロールするために鎮痛剤などを使用して治療を行うこともあります。
病変が小さくても、破歯細胞性吸収病巣が発生した歯は保存が難しい場合が多く、抜歯によって痛みを取り除くことが基本方針となります。
予防と早期発見のために
破歯細胞性吸収病巣の完全な予防法は確立されていませんが、早期発見と口腔内の健康維持がとても大切です。
- 毎日の歯みがきを習慣にする
- 歯や歯ぐきの色や形の変化に注意する
- 年に1〜2回は歯科健診を受ける
口の中はご自宅ではなかなか詳しく見づらい部分もあると思います。
定期的に動物病院で歯科検診を受けることが重要ですね。
また、ご自宅で少しでも違和感を覚えたら、自己判断せず動物病院で相談することをおすすめします。
まとめ
破歯細胞性吸収病巣は、見た目ではわかりにくくても犬にとって大きな痛みや不快感をもたらす病気です。
早期に発見し、適切に治療することで、愛犬の生活の質を大きく守ることができます。
武蔵小山どうぶつ病院では、歯科診療に力を入れており、破歯細胞性吸収病巣をはじめとする歯のトラブルにも対応しています。
口の中のちょっとした違和感でも、どうぞお気軽にご相談ください。
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