犬の周辺性歯原性線維腫とは?|症状・治療法を獣医師が詳しく解説
愛犬の口の中にしこりが見つかって不安になったことはありませんか?
犬の口の中にできるしこりには、良性のものから悪性のものまでさまざまなものがあります。
そのなかに「周辺性歯原性線維腫」という良性の腫瘍があります。
周辺性歯原性線維腫は歯の周りの組織が腫瘍化したものです。
腫瘍というと高齢になってから起きるイメージがあるかもしれません。
しかし周辺性歯原性線維腫は若齢の犬にも起きる病気です。
周辺性歯原性線維腫は早めに気がついてあげることによって、しっかり完治を目指せる腫瘍です。
この記事ではこの「周辺性歯原性線維腫」について、症状や治療法、予後について詳しく解説いたします。
ぜひ、最後までお読みいただき周辺性歯原性線維腫について知見を深め、日常にお役立てください。

犬の周辺性歯原性繊維腫とは?
犬の口の中にできる良性のしこりはエプリスと呼ばれていて、以下のように分類されています。
- 限局性歯肉過形成
- 棘細胞性エナメル上皮腫
- 周辺性歯原性線維腫
今回解説する周辺性歯原性線維腫は、歯の周囲に存在する「歯原性組織(歯のもとになる組織)」がなんらかのきっかけで腫瘍になることによって発生します。
炎症が元で発生するともされていますが、原因ははっきりと分かっていません。
特に若い犬や中年齢の犬でよく見られます。
歯ぐきの一部が盛り上がるように膨らみ、固くピンク色や白っぽい色をしている特徴があります。
周辺性歯原性線維腫は良性の腫瘍であるため、リンパ節や他の組織への転移は少ないです。
また棘細胞性エナメル上皮腫などに見られる骨への浸潤(腫瘍の広がり)もないとされています。
腫瘍の広がりは比較的ゆっくりで、しっかり手術で取り切れば再発も少ない腫瘍です。

周辺性歯原性線維腫の症状
周辺性歯原性線維腫の症状は以下のようなものがあります。
- 食べにくそうにする
- 口を気にする
- 口から出血している
- よだれが増える
- 歯の位置がずれている
周辺性歯原性線維腫は通常痛みも少ないため、初期には症状があまり出ないことも多いです。
そのため腫瘍ができていることに気が付かず、進行した状態で発見されることも少なくありません。
そのため口の中に違和感を感じたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

犬の周辺性歯原性線維腫の治療
犬の周辺性歯原性線維腫の治療は、
- 外科治療
- 歯科治療
が主になります。
前述のとおり、周辺性歯原性線維腫は歯の周囲にある歯周組織から発生した腫瘍です。
腫瘍の見えるところだけを切除しても、また再発をしてしまいます。
そのため腫瘍が発生した歯根膜を削ったり、周りの歯や骨を一緒に取り除く必要があります。
また周囲の歯に歯周病の進行も見られることが多いため、歯科治療(歯石除去など)が同時に実施されることもあります。
犬の周辺性歯原性線維腫の予後
周辺性歯原性線維腫は、手術でしっかりと取り除くことができた場合は再発率は低いです。
手術で切除した組織は、しっかり取り切れているかの確認と、その他の腫瘍との鑑別のために病理検査が行われる場合もあります。
病理検査の結果に基づき、取りきれていないと判断された際には、追加の手術が必要になる場合もあります。

まとめ
愛犬が元気に見えても、口の中には病気が隠れていることがあります。
周辺性歯原性線維腫は、早期発見・早期治療によってしっかり治すことができる良性腫瘍です。
歯磨きなどの際に日常的に愛犬の口の中を確認してしてあげたり、動物病院に行き定期的に健診を受けることがとても大切です。
当院は歯科を強みにしています。
歯ぐきにしこりがあるかも?と気がついた際や、日常の口腔ケアのご相談までいつでもご来院ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 周辺性歯原性線維腫は高齢の犬だけにできる腫瘍ですか?
周辺性歯原性線維腫は高齢の犬に限らず、若齢犬や中年齢の犬でも発生が認められます。
年齢に関係なく歯ぐきにしこりが見られた場合は、早めの診察が重要になります。
Q2. 周辺性歯原性線維腫は放っておいても自然に治ることがありますか?
自然に消失することはなく、進行すると歯の位置のずれや出血、食べにくさなどの原因となります。
腫瘍の根元にあたる組織まで含めた外科的な切除によって、再発を防ぐ治療が行われます。
Q3. 手術後に再発する可能性はどのくらいありますか?
腫瘍と周囲の歯周組織を含めて十分に切除できた場合、再発は少ないとされています。
ただし、切除範囲が不十分な場合には再発の可能性が残るため、病理検査による確認や術後の経過観察が大切です。

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