猫の「吸収病巣」という病気をご存知でしょうか。
吸収病巣とは歯が溶けてしまう病気であり、猫に多いのが特徴です。
猫がご飯を食べるのを嫌がったり、口を触らせてくれなくなったりする原因は吸収病巣かもしれません。
今回の記事では猫の吸収病巣についてご紹介します。
猫の口のトラブルにお心あたりのある方は、最後までお読みいただき、参考にしてみて下さい。
猫の吸収病巣とは

猫の吸収病巣は歯が溶けて顎の骨に吸収されてしまう病気です。
「『歯が溶ける』と言われると虫歯に似ているのでは?」と思われる方もいるのではないでしょうか。
猫の吸収病巣は虫歯とは少し異なります。
虫歯は細菌が原因ですが、吸収病巣は破歯細胞という自身の細胞が歯を溶かすことが原因です。
吸収病巣によって歯の硬い組織が脆くなることで、歯が折れたり、抜けてしまったりすることがあります。
猫の吸収病巣は3歳以上の猫の半分以上で認められると言われるほどメジャーな病気です。

猫の吸収病巣は見た目だけで診断できる?
猫の吸収病巣は診断は見た目だけでなく、レントゲン検査も合わせて判断されます。
吸収病巣は歯肉で埋まっている歯根の部分で生じることもあるため、歯根を含めた歯の全体の評価が重要です。
視診
見た目の検査では、
- 歯肉の腫れ
- 歯石の付着
- 歯の動揺
- 歯の破折
などを確認します。
しかし、歯根までは観察することは不可能であるため、初期病変のうちは判断できません。
歯科用レントゲン検査
レントゲン検査では歯根の部分も含めて評価を行います。
吸収病巣は見た目はきれいでも歯根に病巣が隠れていることもあるため油断できません。
一般的なレントゲン検査であっても歯を観察することは可能です。
しかし、歯科用レントゲン検査を用いることで、より精密に状態を把握することができます。
レントゲン検査でわかることは
- 歯の状態
- 顎の骨の異常
などです。
レントゲン検査をもとに、歯はどのくらい溶けているか、どの歯を抜歯すべきかを判断します。
猫では口を開けての視診を嫌がることも多く、より多くの情報を得るにはレントゲン検査を含めた診断が望ましいです。
猫の吸収病巣の症状

猫の吸収病巣は初期段階では病巣が分かりにくく、症状もほとんどないことも多いです。
吸収病巣が進行すると口の痛みや違和感によって
- 食べ物を片側だけで噛む
- よだれの量が増える
- 食欲が落ちる
といった症状が見られます。
見た目で分かる変化には
- 歯の変色
- 歯が欠ける
- 歯が抜ける
などが特徴的です。
吸収病巣の影響で口腔内の環境が悪化すると口臭の悪化が起きることもあります。
猫の吸収病巣はどのように治療する?
猫の吸収病巣は根本的に治療する場合と対症療法を行う場合に分けられます。
病気の進行の程度や猫の健康状態によって適切な治療を選ぶ必要があります。
根本的な治療
根本的な治療には歯科処置が必要です。
抜歯によって痛みの原因となる歯の取り除き、スケーリングによって歯石をとり、口腔内の環境を改善します。
猫の場合は人間のように歯を削って残す処置が難しいため、基本的には歯を抜くことで治療することが多いです。
抜歯と言われると食事はできるのか心配される飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、猫の場合は歯で噛まなくても食事が可能です。
そのため、抜歯をしても食事などの日常生活は問題なく過ごすことができます。
歯科処置をすることで、根本的な原因が取り除かれるため、症状が大幅に改善することが望めます。
対症療法
対症療法は抜本的な解決にはなりませんが、一時的に症状を緩和することが可能です。
吸収病巣によって痛みが生じている場合は鎮痛薬を使用します。
猫は痛みを隠す傾向があるため、食欲不振の原因が口の痛みであることも少なくありません。
鎮痛薬の効果は一時的ではありますが、痛みを軽減することで元気、食欲の改善が期待できます。
また、吸収病巣に細菌感染が生じていることも多いため、抗生剤の使用も症状の軽減に効果があります。
吸収病巣を予防するためにできること

吸収病巣の原因になる口腔内のトラブルは日々のデンタルケアで予防することが可能です。
また、歯科処置後にもデンタルケアを日常的に行うことで再発を予防できます。
デンタルケアをしたことがない猫では、まず口を触ることから慣れていきましょう。
慣れてきたら、歯の表面を拭き取るデンタルシートや歯ブラシを使って、少しずつデンタルケアを練習していきましょう。
吸収病巣は症状に気づかずに進行してしまうことも多いです。
動物病院で定期的に口腔内をチェックしてもらうことで初期段階から発見することができますね。
まとめ
口のトラブルは猫にとっても生活に関わる大きな問題です。
吸収病巣を放置してしまうと痛みから食欲不振に陥り、全身の健康状態も悪化してしまいます。
早期に発見、治療するのはもちろん、予防のためにデンタルケアの習慣をつけることも大切です。
当院では猫の吸収病巣の治療も行っております。
今回の記事を読んで不安に思われた方は、症状の有無に関わらず、ぜひ当院までご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q.猫の吸収病巣は自然に治ることはありますか?
A.猫の吸収病巣は自然に治ることはほとんどなく、進行していくケースが多いと考えられています。
痛みが強くなる前に発見し、状態に応じた歯科処置を検討することが重要です。
Q.猫が普通にご飯を食べていれば心配しなくてもよいですか?
A.猫が普通にご飯を食べていても、心配ないとは言い切れません。
猫は痛みを隠す傾向があるため、食事ができていても吸収病巣が進行している場合があります。
見た目では分からないこともあるため、レントゲン検査を含めた評価が役立つことがあります。
Q.抜歯をすると猫は食事ができなくなりませんか?
A.抜歯をしても多くの猫は食事ができます。
猫は歯がなくても舌や顎の動きを使って食事をとることができる場合が多いです。
痛みの原因となっている歯を取り除くことで、かえって食欲や元気が改善するケースもあります。

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