犬の歯科レントゲンとは?|必要性・適応を獣医師が解説
犬の歯の健康は人間と同様にとても重要です。
見た目ではきれいに見えても、歯の根元や周りの骨に問題が起きている場合があります。
その外から見えない部分を確認するのに有用なのが「歯科レントゲン」です。
現在、動物の歯科治療は年々進歩しています。
動物用の歯科レントゲン装置も普及してきており、歯周病治療などに貢献することも増えてきました。
この記事では犬の歯科レントゲンの目的、撮影方法、メリットや注意点を詳しく解説いたします。
ぜひ、最後までお読みいただき犬の歯の健康を守るためにお役立てください。

犬の歯科レントゲンはどうして必要なの?
犬の歯の病気の多くは、見た目では発見できない歯の根元や歯槽骨の問題に関連しています。
歯科レントゲンを撮ることにより、口の中の病気を正確に診断し治療計画を立てることができます。
動物病院では、以下のようなケースで歯科レントゲンを勧められることが多いです。
- 口臭が強い
- 歯ぐきが腫れている・血が出る
- 歯がぐらぐらしている
- 食べる時に痛そうにしている
- 乳歯が抜けずに残っている
- 歯科処置(スケーリングや抜歯)を行う
- 顎の腫れ・変形・外傷がある

通常のレントゲン検査とどう違うの?
通常のレントゲン検査は、無麻酔で撮影ができることや、全体像の評価が可能なことが長所です。
しかし歯を撮ろうとすると、左右の歯が重なってしまう点や、歯根や顎の骨などの詳細な画像を得る事ができない点が問題でした。
一方、歯科用レントゲン装置を用いると歯の根元まで詳細に観察することが可能で、これまで分かりにくかった歯の病気がより正確に診断できるようになります。
歯科レントゲンを実施することによって「抜歯が必要な歯」や「歯根に膿がある歯」を正確に判断できます。
犬の歯科レントゲンを実施する際は、一定時間口を大きく開けている必要があります。
そのため、全身麻酔下で行うのが一般的です。
全身麻酔をかけるため、同時に歯石除去や口腔検査を行うこともあります。
歯科レントゲン検査で確認できること
歯科レントゲンで主に確認できる部位は以下のとおりです。
- 歯根
- 歯槽骨(歯を支える骨)
- 顎の骨
- 歯髄(神経や血管が通る部分)
- 永久歯・乳歯の状態(特に若齢犬)
このように外から見えない部分の評価が可能です。
歯科レントゲン検査では、具体的に以下のような状態を見ることができます。
歯周病の進行度確認
歯科レントゲンは歯槽骨の溶け具合や、歯根の露出の程度を見て歯周病の進行度を確認できます。
歯周病の状態に応じて抜歯の必要性を正確に判断することができるということですね。
また歯の根元に膿が溜まってしまう、歯根膿瘍(しこんのうよう)の状態もみることができます。
埋没している永久歯・乳歯の確認
歯科レントゲンで確認できることの一つとして、乳歯遺残や永久歯の萌出障害(永久歯がうまく生えてこない)があります。
レントゲンで検査することで、歯列異常の状態を詳しくみることも可能です。
骨折や腫瘍の有無
歯科レントゲンが有用なのは口の中だけではありません。
犬の顎や口腔周辺には、骨折が起こったり腫瘍ができたりすることがあります。
歯科レントゲンを使うことで、顎の骨の骨折の程度や、口腔内腫瘍の状態や広がり具合を見ることができます。
抜歯後の根の取り残し
抜歯をした際に歯の根元が取り残されてしまうことがあります。
痛みや炎症の原因となるため、残った歯根を抜去するためにレントゲンで位置を確認することができます。

歯科レントゲンのメリット・デメリット
犬の歯科治療にとって有用な歯科レントゲンですが、それぞれメリットとデメリットがあります。
歯科レントゲンを受ける際はメリット・デメリットを良く理解しておきましょう。
メリット
- 歯周病などの早期発見・早期治療が可能となる
- 不要な抜歯を避けられる
- 歯科治療後の経過観察に有効となる
- 腫瘍や嚢胞などの異常の早期発見に繋がる
見た目には歯石がついていることしか分かりませんが、歯科レントゲンを撮ることでどれが本当に治療が必要な歯か判別することができます。
デメリット
- 全身麻酔をかけて行う必要がある
- 専用の機械が必要なため、実施できる病院が限られている
- 撮影枚数が多いため、撮影時間が長くなる
全身麻酔をかけて実施するため、基礎疾患がある犬や高齢の犬では注意が必要です。
麻酔をかけても大丈夫か、獣医師に判断してもらうことが重要ですね。

まとめ
犬の歯は、外から見ただけでは、歯や骨の異常に気づけないことも多くあります。
特に歯周病、破折、乳歯遺残、顎骨異常などを正確に診断する上で有用です。
歯科レントゲンを撮ることで、
- 痛みの原因を正確に把握できる
- 不要な抜歯を避けられる
- 将来的なトラブルを予防できる
といった大きなメリットがあります。
まだまだ歯科レントゲンは全ての病院に導入されているわけではありません。
歯科レントゲンの普及により、更に犬の歯科治療が進歩していくことにも期待ですね。
当院は歯科を強みにしており、歯科レントゲンの導入も行っています。
口の中のトラブルに気がついたときや、「歯がきれいに見えても、本当に健康かな?」
そんな疑問を感じた場合はぜひ当院にご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 歯科レントゲンは見た目に異常がなくても必要になりますか?
歯の表面がきれいに見えていても、歯の根元や歯を支える骨の内部で病変が進行していることがあります。
歯科レントゲンでは外から見えない歯根や歯槽骨の状態まで確認できるため、見た目だけでは判断できないトラブルの発見に役立ちます。
Q2. 歯科レントゲンはどのようなタイミングで撮影することが多いですか?
口臭や歯ぐきの腫れ、歯のぐらつきなどの症状が見られる場合や、スケーリングや抜歯などの歯科処置を行う際に撮影することが多くなります。
乳歯遺残や顎の腫れ、歯の根の感染が疑われる場合にも有用な検査です。
Q3. 歯科レントゲンはなぜ全身麻酔が必要になるのですか?
歯科レントゲンでは、歯を正確な角度で細かく撮影する必要があり、撮影中は口を大きく開けた状態を保つ必要があります。
犬が動くと正確な画像が得られないため、安全かつ正確に検査を行う目的で全身麻酔下で実施されます。

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