こんにちは、武蔵小山どうぶつ病院の獣医師、平尾大樹と申します!
初めましての方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、4月からこちらの病院で診察させて頂いております!
改めまして、よろしくお願いいたします。
早速ですが、今日は犬の熱中症について書かせていただこうと思います。
なんで真夏でもないこの時期に熱中症??
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
真夏のあつ〜い時期は皆さんちゃんと気をつけてくれていて、対策を取ってくれる方も少なくありません。
これはとても素晴らしいことだと思います。
ただ、この初夏の時期に油断してしまって、散歩中に熱中症になって病院にくる子は意外と多いんです!
ワンちゃん達は僕らと違って四足歩行です。地面との距離もすごく近いです。
小型犬の大きさを考えると、地面から10cm程度のところに四つ足で立っています。
そうなると、ワンちゃん達は気温の影響だけではなく、アスファルトの地熱(地面の熱)の影響もモロに受けること
になります。
太陽からの熱、気温、地熱、散歩による運動で体温は上がっていきます。
僕たちと違って、ワンちゃん達は汗をかいて効率的に熱を逃すことができません。
暑い時の体温調節は、舌を出してハァハァとする「パンティング」で基本的に行うことになります。
全身に汗をかいて、熱を身体の外に逃すことができるヒトと比べると些か効率が悪いので、結果として熱が身体に
こもりやすくなります。
どんなワンちゃんでも熱中症になる可能性はありますが、特に、短頭種や準短頭種(正式な呼び名ではないですが)
と言われる鼻の短いワンちゃん達は、元々気道が狭い子が多く、熱を身体の外に逃すのが苦手なワンちゃん達
なので、要注意です。
短頭種・・・フレンチブルドッグ、ボストンテリア、パグ、イングリッシュブルドッグなど
準短頭種・・・チワワ、キャバリア、ポメラニアンなど
一度熱がこもり、体温が高くなり始めると気道の腫れなど出てきて、余計に上手く身体から熱を逃すことが出来なく
なってしまい、高体温が進行していきます。
熱中症は一度始まると、家に帰ってからも病状が進行していく可能性があります。
家に帰ったからといって安心せず、家に帰ってからもずーっとパンティングを続けている、よだれが多い、歯ぐきな
どが真っ赤な状態が続いている、ぼーっとしている、落ち着かないなどの症状がある場合は早めの対処が必要です。
ひどい時にはぐったりして動かなくなり、治療が遅れれば、死んでしまうこともあります。
ですが、早く気づいてあげれば治してあげる事ができますし、気をつけていれば予防も出来る病気です!
熱中症にならないようにご家族の皆さんが気をつけてあげることが何よりも大切です!
気をつける点としては
・太陽が出ている暑い時間帯(10時から16時くらい)の散歩を避ける。
・日がでている時間帯に散歩をする時は、日かげを中心に散歩するようにする。
・長時間の激しい運動は避ける。
・興奮させすぎないようにする。
・首輪ではなくて、首が締まりにくいハーネス等にリードをつけてあげる。
・クールバンダナやネッククーラーを使ってあげる。
・長い間散歩を行うときは、定期的に水分補給させる。
・呼吸や様子がおかしい時(ずーっとハァハァしている、息を吸う時にガーガー、ブーブーと音がするようになった、ぐったりしている、よだれが多い、歯茎が真っ赤など)は病院に連れて行ってあげる。
応急処置としては、水をかけてあげる、扇いであげる、氷で冷やすなどの処置がありますが、冷やし過ぎは逆に悪化
させてしまったり、発症から時間が経てば経つほど状況が悪くなっていきますので、様子がおかしい時は早めの来院
をお願いします。
散歩中以外にも熱中症が起こりやすい状況があります。車内に放置された動物です。
短時間でも締め切った熱のこもるような空間に動物を放置することは絶対にしないでください。ほんの少しの間
でも、日なたに停められた車内はすぐに高温になります。
逃げない程度に少し窓を開けておくとか、エンジンを切らずに空調を効かせておくなどの対応をお願いします。
熱中症でワンちゃんたちが体調を崩してしまったり、亡くなってしまったりすることを防ぐためにも、ご家族の
皆さんがしっかりと注意してあげるようにしましょう!
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